午前零時のキス (高倉知子)
画/ 高倉 知子
作/ ブリタニー・ヤング @1995 Brittany Young
題/ Jenni Finds a Father (N-614)
ハーレクイン オリジナル 2015年9月号
【個人的あらすじ】
アメリカで教師をしているヒロイン/テス・パリッシュは、父/トマスの葬儀に参列中、冷たい眼で見つめる優雅な紳士と出会った。彼は、イギリス貴族のヒーロー/アレック・デヴローで、トマスと過去に関わりがあるという。
テスには妹/ジェニファ(通称ジェニー・11歳)がおり、一緒に暮らしたいと思っていたが、父と継母/チェリルの方針で離れて暮らしている。テスが今度こそ、ジェニーを引き取れると思っていた矢先、弁護士が父の遺言状が公開し、家族も知らなかったイギリスの屋敷デヴロー・ホールに関して、衝撃の条件が示された。
「アレック・デヴローが、テス・パリッシュと1年以上結婚すれば、デヴロー・ホールは彼に贈与される」「これが成立した場合、テスにジェニファの親権を与える」
アレックとテスは、利害の一致から1年だけの契約結婚をすることになる。
実はアレックは、貴族の女性と愛のない結婚をし、間に娘/オリヴィア(11歳)をもうけたが、妻が愛人と浮気中に船で事故死したという過去があった。
同い年のジェニーとオリヴィアは、アレックとテスを恋仲にしようと――。
【おすすめポインツ】
最初は、一目惚れして、嫌よ嫌よもセックスしちゃって、ハッピーエンド、というごく普通の恋愛話だと思ったのですが、30回目くらいから、描かれていない部分を各々の立場で妄想できるようになって、泣いたり笑ったりとはまってしまった作品です。
まずヒーローは、前妻に傷つけられたせいで、ヒロインのことも「中身は分からない」「憎む男の娘だ」「火遊びができる人じゃない」「距離を置けば忘れられる」と、次々と愛さない理由を見つけます。そのくせ、チャンスがあるたびに彼女を自分のものにしようとするし、妹や娘たちを含めて、家族になりたくてたまらないんですよね。それと、ヘリから降りてきたカッコ良さに胸キュン♡
そして、ヒロイン父。今回は悪役にしか描かれていないけれど、娘たちを本当に愛していたんだな、と。でなければ、遺産を継母と娘で公平に分けたり、自分のために苦労を選んで結婚しなそうなヒロインに、あんな素敵な夫を用意する訳がありません。彼はおそらく、ヒーローに自分と同じようなものを感じたんじゃないでしょうか? 本当は真面目で誠実だけど、愛し方が分からない愚かな父親の姿を…。万が一、結婚が失敗しても、イギリスで貴族と1年間結婚すれば、レディという称号を娘に与えられます。取り返しがつかない後悔から、死んでも愛していると言えなかったヒロイン父は、潔く憎まれ続ける道を選んだんですよね。
ええ全部妄想ですが何か?
あと今作は、ヒロイン妹とヒーロー娘の子供可愛さが半端じゃない。ヒーローとヒロインをくっつけようと、いろいろ画策した末に感極まっちゃうとか、もう読んでて何も喉を通らないくらい子供ポイント大サービスです。脇役だけどゲスト兄妹も好印象。
心が和む子供たちの企みとともに、ヒーローとヒロインが惹かれあう過程も丁寧に書かれていて、ほっこり大満足でした。
【もにょるポインツ】
ヒーローよ、いくら過去にいろいろあって、憎い男の娘だからって、ちょっと辛く当たり過ぎです。ヒロインも、「すぐに忘れられる」とか強がり過ぎです。早くくっついてくれればいいのにと読むたびに思う(笑)
え、ミセス・ブリスってことは、彼女結婚してるんですか? ああ、デヴィア夫人なんですね。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ★ ★ ★ ☆
気に入った作品だからこそ、もっと甘くていいのにと思えて敢えてのマイナス1。
ドキドキ度 ★ ★ ★ ★ ★
アレックとテスだけじゃなく、全体的にもう満点です。
ワクワク度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
もう、早くくっついちゃえと思いつつ、最後の流れが不意に早く、やっぱりね、と。
ウルウル度 ★ ★ ★ ★ ☆
テスのお父さんと、ジェニーとオリヴィアの訴えに、涙腺が負けました。
もしもの離婚率 → 2%
アレックの女性遍歴や頑固さ、テスの自立志向を考えると、20%でもいいくらいだと悩んだけれど、娘っこ2人の希望的に10分の1に…。
【胸キュン最高点】