罪な手ほどき (稜敦水)
画/ 稜 敦水
作/ スーザン・スティーヴンス @2008 Susan Stephens
題/ Housekeeper at His Beck and Call [Kept for His Pleasure] (D1312)
ハーレクイン darling 2015年 vol.40
【個人的あらすじ】
銀行頭取の令嬢であるヒロイン/オリビア・テイト(通称リブ:22歳)は、子供の頃から親の定めた道を歩いてきた箱入り娘だったが、決められた婚約者を愛せず、結婚式当日に祭壇の前からウエディングドレスのまま逃げ出してしまう。そして雨の中、大きな屋敷の門に張られた『家政婦募集』を見て、思い切って中へと飛び込んだ。
出迎えたのは、額に傷跡がある大人の男性で、リブが幼い頃に憧れた名門グラント・フェザストン・カルー家の当主であるヒーロー/ケイド・グラント陸軍中佐だった。
リブはなんとか家政婦になったものの、温室育ちの世間知らずで、ケイドとは何度か衝突や軋轢が生じるが、お互い惹かれあっていく。しかしそれも、リブの親から『帰ってくるように』と連絡があり、2人の関係は終わった。
…はずだったのだが、ケイドの進める『兵士のためのリハビリセンター事業』で、援助や理解を求める機会として、ケイド主催となる晩餐会がフェザストン邸で開かれることになり、彼は社交界慣れしているリブにパートナーを依頼する。リブはなんと承諾の条件として、「私に愛し合うことのレッスンをしてほしい」と求め――。
【おすすめポインツ】
深窓の令嬢で美しいヒロインは、親の言いなりで常識も微妙だったけれど、祭壇前の誓い寸前でドタキャンといい、舞踏会パートナーの条件といい、勇気と思い切りがすごい。可愛くて綺麗なだけじゃない、前向きさがあって素敵です。
運命にも立ち向かうし流されない。謝るべきことを謝る勇気もある。きちんと反省して成長していく。読み終わってホッとします。
それだけで好印象ヒロインと思えるのは、ロマンスの毒に中てられすぎでしょうか?(笑)
ヒーローは、一度読んだだけでは魅力が分かりにくいのですが、相手を思いやれる大人の男っぷりがじわじわきます。なにより、ヒロインを認めて愛していくまでの過程が、セリフやモノローグだけに頼らず、表情などでちゃんと描かれていて素晴らしかったです。
それから、最初がウエディングドレスだったので、「こんな高価な服初めて」みたいなお約束はなかったけれど、晩餐会での正装が目に楽しく、なにより! 愛らしいメイド姿!! ポイント超高し。
【もにょるポインツ】
初めてなんだから、ベッドで服を脱いで乱れちゃってもいいじゃない、ヒーローってばもう…。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ★ ★ ★ ☆
ケイドは大人で、感情を抑えて耐えていますが、にじみ出る喜怒哀楽が全てリブに向けられています。羨ましいですね。
ドキドキ度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
唯一の色っぽいシーンで、リブは裸なのに、ケイドはジャケットもスラックスもはいてるとかどうかと…。でも、晩餐会から最後までの流れに★プラス2で。
ワクワク度 ★ ★ ★ ☆ ☆
ケイドのお陰でリブが大人に――という単純な流れの裏で、リブがケイドを癒すお話。
ウルウル度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
元婚約者くんも幸せになれますように。
もしもの離婚率 → 5%