いつか愛して (夏木未央)
画/ 夏木 未央
作/ キャスリン・ロス @2009 Kathryn Ross
題/ Kept by Her Greek Boss (R-2473)
ハーレクイン 別冊 2015年 vol.46
【個人的あらすじ】
ヒロイン/ケイティ・コナーは、務めていた巨大企業“デメトリ海運”CEOのヒーロー/アレクサンダー・デメトリ(通称アレクシ)と、約束のない気楽な情事を楽しんでいたが、妊娠の可能性を疑って愕然とした。アレクシは、2人の関係をビジネスと断言し、決して自分を愛さない。ケイティは、彼に溺れる前に離れなければならない、と決心する。
そして、ケイティはデメトリ海運を辞め、ロンドンの総合商社“マディソン・ブラウン社”へ転職。プロジェクト・マネージャーとしての初日、オフィスへ入ると、そこで待っていた新社長はなんとアレクシだった。
アレクシは、ケイティと以前の“お楽しみ”関係に戻ろうと、あらゆるチャンスで強引に迫ってくる。精一杯拒否するケイティだが、彼の魅力に逆らえないと悩む。
「意味など必要がない」と言い切りながら身体を求めるアレクシ、「ちゃんとした関係を求めているの」と突っぱねるケイティ。そんな諍いの合間に、ケイティは体調の悪さに気付き、妊娠検査をすると、デメトリ海運を離れた1カ月前には陰性だったのが、今回は陽性に。
妊娠を知ったデメトリが、堕ろせと言うのではないかと心配するケイティだが、彼は意外や「結婚しよう」と言いだし――。
【おすすめポインツ】
暗い過去から家族的コンプレックスがあるヒロインが、ヒーローの大家族に紹介されて感激して泣いてしまう場面など、優しくも胸を衝かれます。
こんな素晴らしい家族で育ったくせに、前妻に裏切られたくらいで素直になれないヒーローってどうよ? でもまあ、最初から最後までヒロインにデレっぱなしで、ある意味で可愛い男だったからよしとします。
【もにょるポインツ】
愛って最終的には(いろんな意味で)セックスだろうと思うけれど、2人ともヤリたがり過ぎじゃないでしょうか?
特にヒーローは、再会直後から「新しい関係に進む」「これは単なるビジネスだよ」「また始めよう」とのたまって、遊びの関係を続ける気満々。ヒロインも、表面的に拒否してるものの、「イエスと言う以外、何が言えるの」「惹かずにはいられない」などと落ちる気満々。挙句、仕事中でも2人っきりならイチャイチャしちゃう。
それじゃなくても再会物は、恋愛したての旬なところが省略されていて、キャラの魅力が分かりにくい。今作はさらに、障害といえる障害が『ヒーローの前妻トラウマ』だけで平坦。
攻略のし甲斐がないギャルゲーのようでした。
それから、全身図がほとんどないのがガッカリ。ベッド・シーンですらウエストショットで、見た目がちまちましてしまう。ドレスアップの立ち姿くらいは描いて欲しいです。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ★ ★ ☆ ☆
離れていった恋人を、新しい会社を餌にして捕まえちゃうくらい、アレクシのストーカーまがいの情熱は、素直に尊敬します。愛し方を間違っちゃうのはロマンスのお約束で、ケイティが受け入れちゃってるならしょうがない。
ドキドキ度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
アレクシのストーカーまがい行為を除くと、ベッドの上以外に具体的な愛情表現がない気がします。
ワクワク度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
もっとケイティは反撃してくれるかと思ったのに…。
ウルウル度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一番気の毒なのは、ケイティの子供時代なのだろうけど、アレクシと違って、彼女は前向きに消化できていました。
もしもの離婚率 → 10%