砂漠に墜ちた雫 (御茶まちこ)
画/ 御茶 まちこ
作/ オリヴィア・ゲイツ @2011 Olivia Gates
題/ To Tempt a Sheikh [Pride of Zohayd #2] (D-1495)
ハーレクイン darling! vol.45 ゾハイドの誇り
【個人的あらすじ】
ニューヨークの病院で救命医療にたずさわる医師のヒロイン/タリア・ジャスミン・バークは、懲役5年の罪で投獄された双子の兄/トッド・ジョナスから「僕はハメられたんだ」と無罪を訴えられた。兄を陥れたのが、砂漠地帯の豊穣の地ゾハイド王国の王族だと知り、彼女が同国に単身乗り込んだところ、何者かに誘拐拘束されてしまう。
そこに突然、乗り込んできて彼女を助けた男は、「なぜ女のおまえがトッドのフリをしている?」とタリアを問い詰めた。
銃撃戦の中、タリアはその男に無理やり連れだされる形で救出され、いったんは2人でヘリに乗り脱出したものの、燃料タンクに攻撃を受けて砂漠に墜落。男は腹部に弾を受けていたが、彼女が治療しようとすると、正体が分からない人間には触らせないという。タリアが覚悟を決め、トッドの妹だと告白して治療するうち、2人はあっという間に惹き合ってしまった。
しかし、男がゾハイド王国国防長官にして第2王子のヒーロー/ハーレス・アール・シャラーンだと名乗り、タリアは心惹かれたその男が兄の敵だと知る。
とはいえ、砂漠に2人取り残された状況で争ってばかりはいられず、80km以上離れたオアシスまで歩いて脱出するしかない。ハーレスは、「君のことは必ず僕が守る」と宣言し、タリアを挑発し誘惑しながら逃走を成功させたが――。
【おすすめポインツ】
ヒーローのラブっぷりは立派で、最初から最後までぶれずにヒロインを裏切りません。ヒロインは、兄という踏み絵はあったけれど、名乗った時も、初エッチの時も、出国の時も、最後のシーンも、ヒーローに真っ直ぐ過ぎるほど向き合います。
炭酸のように爽やかなロマンス物だと思います。
【もにょるポインツ】
“ゾハイドの誇り”偽造事件に関するシリーズの真ん中だけに、恋愛よりミステリー優先で、いかにもシリーズをつなぐために御都合主義で作った話に見えます。
だって、矛盾だらけで指摘したらきりがありません。砂漠を強調したいのかもしれませんが、王子の国防長官が護衛もGPSもなしに遭難するとか(事実ならとっくに国が滅んでいるレベル)、電波が届かないとか(携帯電話じゃあるまいし救助信号の電波は地球の裏側まで届くし今は衛星だってあるし)、ヘリが横滑りに落ちるとか(ヘリで可能な限り遠くに逃げるなら最後はオートローテーションで真下に不時着する)、首や喉を守る装備なしで歩き回るとか(熱と砂で肺が死ぬ)、熱中症で2日以上寝込んでるのに点滴すらつけてないとか(食事できないはず)、もう無理あり過ぎます。
という揚げ足取りしなくても、ロマンス成分が少ないのが一番微妙でした。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
オアシス到着時が一番イチャイチャしてたのですが、それよりなにより、砂漠に8時間放置されて生きてたタリアの根性に★1つです。置いていくなら何か上にかけてあげてよ…というか、ハーレスが戻ってきた時に、どうやって見つけられたんだろう?
ドキドキ度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
こんな感じならエッチしなくてもいいんじゃないかと思いました。
ワクワク度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
隣の部屋に聞こえるような声で、戦略的に重要な電話をしちゃう国防長官に驚きました。それしか恋の障害的なものがなかったし。
ウルウル度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
砂漠だからというわけじゃないけれどドライでしたね。
もしもの離婚率 → 8%