御曹子の傲慢なプロポーズ (黒田かすみ)
画/ 黒田 かすみ
作/ マリーン・ラブレース @2013 Merline Lovelace
題/ The Diplomat's Pregnant Bride [Duchess Diaries #2] (D-1632)
ハーレクイン 別冊 2015年 vol.45
【個人的あらすじ】
亡カルレンブルク大公家の直系のレディでありながら、大学卒業後は遊び三昧だったヒロイン/ユージニア・アマリア・テレーズ・セント・セバスチャン(通称ジーナ)は、1か月半前に恋に落ち燃え上がって子供を身ごもった。相手は、アメリカの名家の御曹司であるヒーロー/ジョン・ハリス・メイスン3世(通称ジャック:32歳)で、史上最年少でテロリスト対策担当無任所大使となったエリート外交官だ。
ジャックは、ジーナの姉/サラ・エリザベス・マリー=アデル・セント・セバスチャン(“婚約指輪についた嘘” (A Business Engagement) [Duchess Diaries #1] のヒロイン)の結婚式で、ジーナに何度目かのプロポーズをした。だが、子供のためだけでは結婚できないと考えているジーナは、口論で姉の式を台無しにしたくない、と今まで通り拒否をした。
諦められないジャックは、また会う約束をして説得に意欲を燃やす。ジーナの祖母/大公妃シャーロット・セント・セバスチャンに気に入られたらしいのだけが、彼の救いだった。
一方のジーナは、大手イベント企画会社ザ・トレメイン・グループにイベント・プランナーとして就職し、仕事も妊娠も順調。『ジーナは仕事や自立など考えず、自分を頼って結婚すればすべて解決する』と思っているジャックだったが、家族に頼ってばかりだった彼女が自主的に頑張る姿を見て、少しずつ寄り添うことを覚える。
そんなある日、亡カルレンブルク公国ブラドゼッチ出身であるジーナの従兄/ドミニク・セント・セバスチャン(大公殿下と忘却の恋人 (Her Unforgettable Royal Lover) [Duchess Diaries #3] のヒーロー)と従妹/アナスタジア・アマリア・ユリアナジア・セント・セバスチャン(海運王への実らぬ想い (The Texan's Royal M.D.) [Duchess Diaries #4] のヒロイン)が、祖母の大公妃を訪ねてきた。
ジャックは、ジーナから2人の名前を聞いて、自分が関わった過去の事件を思い出し――。
【おすすめポインツ】
奔放で頑固で気まぐれで、なのに困ったことがあると魅力と周囲の助けで乗り切れてしまうらしいヒロイン。ハーレクインの主人公としては、いうなれば向かないとしか言いようがない、チャラいギャル娘ちゃん。
だけど、作品内で語られているように、やっぱり憎めない美人さんなんですよね。
誤解を恐れずに書くと、『こんな軽薄な女は嫌ざます!』とぎゃーぎゃー責める人よりも、このヒロインこそ友達になりたいと思ってしまうのです。彼女と頭の良さが滲み出る楽しい会話をしてみたい。そして、頑張って自立するのを応援したくなってしまう。
もちろん、ヒロインに最初から全面降伏してるヒーローあればこそ。 何度もプロポーズする根性も良いのですが、その言葉がグレード・アップしていく様も胸キュンです。
【もにょるポインツ】
この漫画家さんは、ハーレクインを良く分かってる方だと、勝手に思っています。いつか別の作品でぶちまけられたらいいのですが、今回は理由などはスルーして、とにかくちゃんと原作を消化&昇華されている良品ばかりなのです。
ですが、今作はシリーズ物のデメリットが足を引っ張っています。
とにかく説明が多く、この漫画家さんのメリハリが生かされていません。こんなに字が多いのに、途中、ヒロインの親戚関係やヒーローの父親の周辺で違和感があるし、登場人物は多いし、もしかしたら原作はもっとゴチャゴチャしてるのかもしれません。それを限られたページ数にまとめる漫画家さんたちはすごいですね。
とにかく、細かい部分に半端臭がして、アクション的に派手な割に盛り上がりに欠けました。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ★ ★ ★ ★
ジャックの男らしさ潔さ、そして愛情深さは、特筆に値するくらいのハイレベル。そして、ヒロインお祖母様のカッコ良さに★+1。
ドキドキ度 ★ ★ ★ ☆ ☆
こんなにイイ男のジャックに愛されているのに、ジーナが羨ましくないのはなぜだろう? というか、2人の幸せがとても小さく感じてしまう。
ワクワク度 ★ ★ ★ ☆ ☆
脇役の従兄妹たちが気になりました(笑)
ウルウル度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
大公妃は、きっと御苦労があるのだろうな、とは思うけれど。
もしもの離婚率 → 70%