隠されたメッセージ (高橋冴未)
画/ 高橋 冴未
作/ キャスリーン・オブライエン @1998 Kathleen O'Brien
題/ The Husband Contract (I-1298)
ハーレクイン オリジナル 2015年9月号
【個人的あらすじ】
イギリス:ウェークフィールドで教師をしているヒロイン/メラニー・ブラウニング(通称メル:24歳)は、8歳で両親を失い、生まれたばかりの弟/ニックとともに叔父/ジョシュアに引き取られたが、16歳で駆け落ち騒動を起こし、結婚は寸前に流れたものの家出同然に暮らしていた。
やがてジョシュアが亡くなり、総額1200万ドルの遺産をメラニーに残したとして、有能な弁護士のヒーロー/クレイ・ローガン(31歳)がやってくる。
しかし、受け取るには条件があり、「適切に管理できる分別を1年以内に示せ」とされ、「最も理想的な分別の示し方は、遺言執行人も認める人物と結婚すること」というとんでもないものだった。その遺言執行人こそがクレイで――。
【おすすめポインツ】
お転婆な女の子が成長してレディになり――という定番風に始まりながら、今作のヒロインは、成長してもお転婆のままで清々しい。ヒロインの男友達/テッドの優しさと厳しさ、そして思慮深い気遣いも、しみじみと心温まる。
ヒーローは…顔は好みなんですが、仕事優先で…いやそれも好みかも。
【もにょるポインツ】
話が破綻しまくりで、恋愛にのめりこめませんでした。
まず、ヒロインは最初、遺産を放棄しようとするのに、ヒーローが興味を抱かせるような話を持ちかけました。たぶん、叔父のテストを彼女に受けさせなければいけないという判断なのでしょうが、これはラストに対する裏切りだと思います。また、ヒーローは洞窟のシーンで、キスは未遂でも自分からヒロインを誘惑しました。この時点で執行人としての資格はなくなるはずです。
最後のハッピーエンドも、ヒーローは追加条項を知る利害関係者になるわけで、訴えられたら確実に負けると思われます。
なので、ヒーローが有能な弁護士だとは考えにくい。
恋愛に関しても、ヒーローが本当にヒロインが好きなら、もっと彼女をフォローして欲しかった。よっぽどテッドのほうがヒロインのことを分かっています。
ていうか、ヒーローは、テッドのことをもっと嫉妬してもいいじゃない。
ヒロインにテッドが付き添ってきた時とか、蔵書を2人だけで見て回ってるのとか、ヒロインとテッドの結婚の噂を聞いたシーンとか、テッドが彼女の部屋にお泊りした時とか、もっともっとジェラシー燃やせばいいのに。イケメンの焼き餅は大大大好物ですよ。
ああ、ヒーローが仕事が手につかなかったところとか、読みたかったなあ。ページ数の関係かなあ。
最後に、愛し方を知らないとか不器用だかとか何か知らないけど、叔父は、ヒロインを傷つけ過ぎだと思う。愛してたら何を言ってもいいわけじゃない。プライド高くても死ぬ気になったらケジメつけられるでしょう。ちゃんと愛せなかったくせに、愛し返されようとするなんて姑息すぎる。家政婦のヒロイン苛めと弟贔屓もひどくて意味分からなかったし。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
行かないでくれと言った直後にレイプ未遂というのが、愛情表現のクライマックスというのは微妙。ていうか、2人っきりの時に、死んだ前カノの名前を呼ぶとかダメでしょ。
ドキドキ度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
指輪の焼き餅は胸キュンでした、あとは、メルがテッドに告白するシーンが、クレイよりも正しいイチャつきっぷりで(笑)
ワクワク度 ★ ★ ★ ★ ☆
なんだかんだあったけど、あの逆転劇はスカッとしました。
ウルウル度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
隠されたメッセージが泣き所なのは分かるんですが、叔父さんへの怒りが勝ってしまった心の狭い読者です。
もしもの離婚率 → 40%