家なき子へのプロポーズ (さちみりほ)
画/ さちみ りほ
作/ メイシー・イエーツ @2012 Maisey Yates
題/ Girl on a Diamond Pedestal (R-3056)
ハーレクイン 増刊 2015年 初夏号
【個人的あらすじ】
〈鍵盤の天使〉と謳われる天才少女ピアニストだったヒロイン/ノエル・パーチ(21歳)は、大人になるにつれ人気を失い、2年前には、ただ1人の家族だった母親に版権や預金を持ち逃げされ、屋敷も何もかも売り払わなければならないほど追い込まれていた。
そこへ、競売の前に屋敷を手に入れたいと言って、ホテルグループの御曹子でノエルのファンだというヒーロー/イーサン・グレイが現れる。
彼は言った――「君の母親に復讐するために、僕を利用してくれないか、ノエル」
ノエルは、復讐のために出会ったばかりの男性を利用するなど、初めは断るつもりだったが、イーサンが彼女の過去の振る舞いや好みなどを憶えており、「君の才能に憧れるファンだ」と告白されて心打たれる。
さらにイーサンは、彼自身も自分を捨てた父親に復讐するため、半年でいいから結婚して欲しいと言いだした。父親にグループを相続させないように、現在のグループのトップである祖父を説得するには、イーサンが家庭を持つ必要があり、夫婦関係などない半年ほどの契約結婚でいいのだと。
その条件として、ノエルには、唯一の財産である屋敷を買い戻し、離婚時に巨額の慰謝料を与えるという。
【おすすめポインツ】
わたしをこの道に墜とした目覚めさせた、さちみ先生の作品だからって、先入観など持ちませんよ。
…気持ちよく泣けましたとも。ええ、何度でも。
ここで御紹介する絵を選ぶ時の基準は、『ヒーローがヒロインを思っている場面』か『ヒロインが幸せになれる場面』かなのですが、そんなものを選ぶなら全ページじゃないですか、ってくらい愛に溢れているシーンばかり。
2人はクライマックスまでキスさえしないというのに(笑)
勝手な大人たちのせいで、幼い頃から胸を痛め続けた2人が、傷を舐め合う、なんて単純な話ではありません。頑張っても辛くても、それでも努力する可愛いヒロインが、諦めなかったからヒーローという王子様と出会って幸せになった、という簡単な話でもありません。
その人を失ったら、何を得ても魂が欠けてしまう…そんな相手に出会えば、きっと勇気が持てる。
泣かされて感動させられて、本当に胸が締めつけられて、だけど最後の最後のシーンで、大人のお伽話としての甘さを、もうこれでもか、ってくらい味わえます。
【もにょるポインツ】
罰を受けるべきなのは、ヒーロー父よりヒロイン母じゃないですか、もう。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ★ ★ ★ ★
本当は星10個くらいつけたいんですよ。ノエルがやりたかったことが、イーサンのやりたかったことであり、利用しているだけなのに寄り添ってしまう、それは魔法じゃなくて愛なんですよ(笑)
ドキドキ度 ★ ★ ★ ★ ☆
ドキドキしっぱなしでしたね。イーサンの爺さんよ、孫の前に息子を何とかしてくださいよ。いや、孫息子にもっと早く教えておいてくださいよ。
ワクワク度 ★ ★ ★ ☆ ☆
イーサンの最終手段は、想像できなかったとは言わないけど、あそこまでやるとは思わなかったなあ。
ウルウル度 ★ ★ ★ ★ ☆
満点に値する星4つ。2人の親たちに腹立ちすぎてマイナス1。
もしもの離婚率 → 3%