ナイスガイはどこへ (くぼた尚子)
画/ くぼた 尚子
作/ リンダ・R・ウィズダム @1996 Words by Wisdom
題/ No More Mister Nice Guy (LS-30)
ハーレクイン 別冊 2015年 vol.44
【個人的あらすじ】
ロサンゼルスで貿易会社の社長令嬢として暮らすヒロイン/シェルビー・エリザベス・カーライルは、父/ウォレンの右腕を務めるヒーロー/ジェド・ホーキンズと、お互い一目で恋に落ち交際を始めた。
しかし、出張ばかりの彼と1年半付き合った結果、一緒に過ごせたのは1か月余り。それも、仕事の時は電話すらできない音信不通。不安定な関係に我慢できなくなったシェルビーは、ジェドに別れを告げて、親友/メレディス・アッカーマンの別荘へとやってきた。
1か月後、その別荘に2人組の強盗が入り、メレディスは頭を負傷、シェルビーは強盗たちに山へ拉致されてしまう。
連絡を受けたウォレンは、ショックで心臓発作を起こし、倒れる間際にジェドへ「娘を助けてやってくれ」と頼んだ。ジェドは、さっそく現地の保安官事務所に乗り込んだが、保安官は大事になるのを嫌う事なかれ主義で、捜査には消極的。それでもジェドは、保安補佐官から犯人につながる情報を得て山へ向かう。
そして、強盗の3人目となるリーダーが現れ、シェルビーが半ば諦め始めたところに、ジェドが現れて彼女を救出。彼はシェルビーを背負って暗闇の山を走り抜けた。
山奥の洞窟を隠れ場所として、服や靴に食べ物、銃まで用意周到なジェド。そんな危機対応能力と強靭な肉体を見て、シェルビーは違和感を覚える――わたしの知っているジェドは“礼儀正しい洗練されたビジネスマン”だったはず。そして彼女は、ジェドの上司である自分の父も、昔から謎の多い生活をしていたことに気付く。
その後、山を下りた2人は、追ってきた強盗たちと対峙し、ジェドは胸を撃たれて重傷を追ってしまう――。
【おすすめポインツ】
この作品は、恋愛物とは違うツボを押します。
つまり、ある種のツボは押されますが、恋愛とは違う気がします。
という思わせぶりな書き方をするしかないお話なんですよね。
ここに記事を見に来る方は、いわゆる試し読みのあとに続きが気になる、という方も多かろうと思うのですが、ネタバレしてしまうと、誘拐されたヒロインはヒーローに助けられますし、2人は結婚して幸せになります――というのはハーレクインのお約束なので、ネタバレになっていないかもしれませんが(笑)
もしも、ヒロインが誰を殴ったのか、ヒーローの最後の怪我は何なのか、どうしても気になるなら1度は読むべきです。何かを失う幸せもあると納得できます。
【もにょるポインツ】
恋愛がメインじゃなくても、フォトジェニック(?)で楽しめる話ではありますが、やっぱりもっと恋愛要素が欲しかった。
特に、ヒーローの方向転換に唐突感が否めませんでした。読み返してみると、ここくらいしか恋愛分岐点がないような気がするのに…。あとは、ヒロインがぐるぐるするのはよくあるパターンですが、本当の意味で前に進まないのは珍しいですね。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
シェルビーが、結婚できなくてもいいと考えるところで、ジェドは幸せにならなくてもいい、と毎回のように叫びながら萎えます。
ドキドキ度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
セックス以外にドキワクエリアがなくて、そのセックスにも色欲を感じない。まあ、ハーレクイン漫画にエロさは求めませんけれど、恋と愛があってこそのハーレクインなのでは。
ワクワク度 ★ ★ ★ ☆ ☆
恋愛物では驚くほどのジェットコースター。
ウルウル度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
泣ける要素はあるにもかかわらず、ジェドにもシェルビーにも感情移入できなくてごめんなさい。
もしもの離婚率 → 50%