象牙の塔の愛人 (檀からん)
画/ 檀 からん
作/ ルーシー・エリス @2011 Lucy Ellis
題/ Innocent in The Ivory Tower (R-2937)
ハーレクイン 別冊 2015年 vol.44
【個人的あらすじ】
イギリスで子守(ナニー)をしているヒロイン/メイシー・エドモンズは、面倒を見ている親友の息子/コンスタンティン(通称コスチャ:2歳)の行く末を心配していた。メイシーの親友でコスチャの母親/アナイスと父親/レオニード・クリコフが事故死したため、自分がコスチャを見守らなければと。
そこに、コスチャの名付け親にして法的後見人だというヒーロー/アレクセイ・ラナエヴスキー(愛称アリョーシャ)が、コスチャを探して乗り込んでくる。
コスチャを国外へ連れて行くというアレクセイに対し、メイシーは「この子が落ち着くまで一緒にいたい」と願い出て、「急いで支度を」と命じられる。アレクセイは、子守だから同行させるだけ、と思いつつ、彼女のシャワーを浴びた姿に欲情し、いきなり唇を奪ってしまう。驚いたメイシーは「服を着るから出て行って」と突き放した。
そして、ナポリの豪邸に連れてこられたメイシーとコスチャ。
世界的大富豪で忙しいアレクセイは、1週間留守にしたあとに帰国するなり、コスチャと散歩しているメイシーが男に声をかけられているのを見かけ、「家に男を連れ込んでほしくない」と怒りだす。また、ディナーを共にしても、レオとアナイスが子供の面倒を見なかったと、メイシーが示唆したことで、アレクセイは「彼らを貶めて君になんの得があるのか?」と罵倒した。
メイシーは諍いで怪我をしてしまい、アレクセイは急に優しくなる。しかし、気が収まらない彼女は、アレクセイに抗議をしに行った勢いでベッドインしてしまい――。
【おすすめポインツ】
よくある、俺様ヒーローが愛してないけどエッチしたい、というやつ。まあお約束で、本当のところはヒロインにメロメロなんですけどね(笑)
ヒロインは、最初は激情に流されているけれど、最後はセックスに誤魔化されずに自立しようと決心。この最後の流れがなかったら、間違いなく本を投げ出して二度と読まないところでした。
むしろ、最後の流れを読むために、前半のめんどくささを耐えるべし?
【もにょるポインツ】
ヒーローが、複雑な育ちで面倒な性格なのは分かるけれど、一歩間違えばただのセックスしたい精神的サド男に見えてしまう。シャワー直後を襲うとか、女性の前で相手の下着を弄ぶとか、セクハラもひどい。高価なドレスとかスパとか『金使ってやるぜ』だけじゃ腹五分目どまりなので、もっともっとヒロインに対する甘い部分や感情の表現があったらよかったかも。
まあそれもこれも、最後の流れで大逆転でしたけどね(笑) あと、その最後に花束もあったらホームランだったのに。
ヒロインは、時々ヒーローにキッパリ言っているのが、一番の見せどころなのに、なぜかうやむやに愛しちゃってる感が否めず。
それから、タイトルは原題の直訳で、ヒーローの孤独を表しているのかもしれないけれど、女性も遊びも激しい彼に日本語の“象牙の塔”は合いませんよね。雑誌はともかく単行本では、タイトルに煽られて買う人も多いと思うので、担当さんはもうちょっと気を使ってあげて欲しい。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
買い物報告や誕生日のようなシーンでいつも口論してばかりなのにエッチは唐突。そこもっとイチャイチャすればいいのに。でも最後のシーンに★+1。
ドキドキ度 ★ ★ ★ ☆ ☆
アレクセイは、富豪ヒーローの典型で、金の使いっぷりはいいです。でも、使い方というか渡し方がスマートじゃないので★低め。しかし、セクハラ気味なのが可愛いので★+1。
ワクワク度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
まあそうだよね、と良くも悪くも納得できてしまう。
ウルウル度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
コスチャにも幸せになって欲しいです。
もしもの離婚率 → 80%