名前をなくした貴公子 (宮本果林)
画/ 宮本 果林
作/ ルイーズ・アレン @2003 Louise Allen
題/ One Night with a Rake (PHS-74)
ハーレクイン 別冊 2015年 vol.44
【個人的あらすじ】
イギリス東部ノーフォーク地方で、年の離れた夫を2年前に亡くした未亡人のヒロイン/アマンダ・クレア(23歳)は、ロンドンからの帰りの乗合馬車で、身なりの良い紳士なヒーロー/セヴァーン伯ジャレッド・マンセル(別名ジェイ)と同席になった。その途中、御者の居眠りで馬車が谷へ落ち、アマンダは紳士に抱きとめられて一命を取り留める。
その後、宿屋で目覚めた2人。夫婦だと勘違いされて戸惑うアマンダに対し、ジャレッドは自分の名前さえ覚えていなかった。
アマンダは、夫の跡を継いだ義理の甥/ハンフリーに、財産狙いで弱みを探られているため、紳士とのスキャンダルを恐れる。だが、命の恩人の紳士――指環のイニシャルからジェイと名乗ることになった彼を放置もできず、怪我が治るまで自分の経営する宿屋で働けるよう手配した。
また、ジェイの家族が心配しているのでは、と気遣うアマンダに、彼ははっきりとは憶えていないものの、「とても大切な金髪の美しい女性」の面影を思い出す。ジェイに惹かれつつあるアマンダは、きっと彼の愛する女性なのだろう、と切なくなる。
ハンフリーはさっそく、アマンダの事故について嗅ぎ付け、「クレア家の財産を守りたい」「僕たちが結婚するのが、いちばんよい方法だ」と、嫌がる彼女に迫る。
そんな折、アマンダを訪ねてきたジェイは、彼女の夫がかなり年上だったことを知り、「君を売り飛ばしたのは誰だ」と激怒。夫を尊敬していたアマンダは、「私をとても愛して大切にしてくれた」と反論したが、ジェイは再び金髪美女について「堕落した年寄りと結婚させられるのを止めようとして」と思い出した。
アマンダとジェイが会っている様子から、2人の仲を疑うハンフリーは、ますます強引に彼女と結婚しようとするが、ジェイに邪魔をされて背後から襲い掛かる。その衝撃でジェイの記憶が戻り――。
【おすすめポインツ】
未亡人とは思えない無垢なヒロインが、訳アリ記憶喪失のイケメン貴族に助けられ、恋に落ちちゃうお話。健気な彼女は可愛い過ぎます。
それに輪をかけて、ヒロインを好き好きなヒーローは満漢全席です。
ヒロインがピンチになったら、財産狙いで言い寄る甥っ子や親戚を蹴散らし、相手が剣だろうと銃だろうと逃げずに真っ向勝負する、欠点無しのパーフェクト騎士さま(本当に貴族だけれど) このヒーローの真面目さゆえに読後感が気持ちいい。
事件が多い割に淡々と進むお話ですが、今作が無かったとしたら、この雑誌を買って良かった感が大違いだったでしょう。
【もにょるポインツ】
しょうがないとしてもヒーロー従妹の娘が罰せられないのは納得いきません。最初の事故で犠牲者はいなかったのでしょうか。既に傷物にされた娘さんたちもいたのではないでしょうか。未成年扱いなのでしょうが、本当に納得いきません。
あとは、ヒロインがずっとドレス姿ではありますが、やっぱり華やかな姿や、2人の盛り上がりのようなものが欲しかったです。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ★ ★ ☆ ☆
ジャレッドは本当に完璧なヒーローなのですが、ダイアナに甘すぎた分が★マイナス1で。
ドキドキ度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
イチャイチャは少なかったけれど、やっぱり憧れるシチュエーションです。
ワクワク度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
ピーチ姫は攫われるためにいて、マリオは姫を助けるために工事をしてる、ってくらいの王道なのに、悪役の活躍というか処遇が微妙だった驚き。
ウルウル度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
悲しいより胸キュンだったけれど、チャールズとクラリッサに★1つずつ。
もしもの離婚率 → 1%