愛の迷い子 (しのざき薫)
画/ しのざき 薫
作/ キャロル・モーティマー @1988 Carole Mortimer
題/ One Chance at Love [Bennett Family #1] (R-685)
ハーレクイン オリジナル 2015年5月号
【個人的あらすじ】
イギリス・ロンドンに住む駆け出しイラストレーターのヒロイン/デリラ・クレオパトラ・ジェームズ(通称ディジー:別名DC・ジェームズ:21歳)は、4歳の時に母が家出し、8歳からは父にも見放され寄宿舎で育った。寄宿舎のルームメイト/クリスティも、 同じように両親と疎遠だったことから、2人は家族以上の親友に。
ある時、ディジーはクリスティから、叔父の説得を手伝って欲しいと頼まれた。女優志望のクリスティは、3年前に亡くなった両親の遺産をあてにして、演劇学校への入学を決めたが、遺産を管理している彼女の叔父は、話を聞こうともしないという。
ディジーは、親友の夢の手伝いできるならと、その叔父の居城キャッスル・ヘイブンへ向かう途中、全裸で湖を泳ぐギリシア神のような男性に目を奪われた。
その後、城で再会したクリスティに、「気まぐれでいいかげんな人の芝居をして」「あなたに比べれば、わたしはまともだと、叔父から認められるように」と懇願されて、演技の才能はないと困惑するディジー。だが、クリスティは「成功したら、あなたの憧れの小説家クローディア・ローレンスを紹介するわ。叔父の知り合いなの」と持ちかけ、さすがのディジーもその気になる。
そして、紹介されたクリスティの叔父で歴史学者のヒーロー/ザカリア・ベネット(通称ザック:36歳)は、なんとあのギリシア神だった。
【おすすめポインツ】
美形な頑固メガネ男子なヒーローは、大変おいしゅうございます。一目で恋に落ちたヒロイン、というよくある話ですが、親友のために悪い女を演じなければならず、ヒーローを好きな気持ちに素直になれない、という捻りが面白かったです。
ヒロイン親友のでたらめな計画も、バレバレで可愛いし、お陰で2人がくっついたことだし(笑)
【もにょるポインツ】
運命を強調したいのかもしれないけれど、ヒロイン母の絵やヒーロー元婚約者の話は、ちょっと蛇足っぽいというか。障害でもなく昂揚でもなく、話が面倒くさくなるだけというか。おそらく原作が、伏線として生かし切ってないのかな。
実は、ハーレクインの不文律として、「ヒロインが認識するより先に、ヒーローが恋に落ちる」というのがあると、勝手に思っています。
この話では、ヒロインが先にギリシア神に一目惚れしてしまうと、ヒーローが恋に落ちる間がないため、それよりずっと前に、ヒーローは絵の中の少女に惹かれていた、ということにしたかったのかもしれません。そうなると、その絵は必然的に、ヒロインの関係者が描いたものなのが自然なわけで。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
ヒーローが優しいのは明らかなのに、愛してる感が薄いのは、ヒーローが慎重な大人だからだけじゃなくて、ヒロインが特別扱いされてない感じかも。
ドキドキ度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
堅物なはずが大胆さを秘めたヒーローの登場シーンにニヤリ。
ワクワク度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
憧れの小説家の正体は、まあ想像通りだった分、城に住むだけに騎士的なアクションがあったら、もっと胸キュン度が上がったはず(笑)
ウルウル度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
気にしてると言ってはいるけど、実際は娘に手を差し伸べなかったヒロイン母に、感動が削がれてしまって。
もしもの離婚率 → 10%