情事の報酬 《ファム・ファタールの息子たち2》 (羽生シオン)
画/ 羽生 シオン
作/ アビー・グリーン @2014 Abby Green
題/ When Christakos Meets His Match [Blood Brothers #2] (R-3023)
ハーレクイン darling! vol.43 ファム・ファタールの息子たち
【個人的あらすじ】
経済的理由から休学している大学生のヒロイン/シドニー・フィッツジェラルドは、父が1年前に過労で亡くなり、母も1か月前に事故で死亡したあと、先天性障害のある叔母の面倒を見ながら働いている。ほどなく、浪費が激しかった母が生前、叔母名義で残した多額の借金が発覚し、シドニーは放置できずに肩代わりすることに。
シドニーは、その手続きの移動のために乗った飛行機で、隣に座ったゴージャスな航空会社CEOのヒーロー/アレクシオ・クリスタコスの横柄な態度に、つい皮肉を言ってしまった。
いったんは気まずい雰囲気になったが、流れでお互いの身の上話になり、なぜか彼女が気になるアレクシオは、「いつでも僕を頼っていい」と名刺を渡す。そのあとも、飛行機を怖がるシドニーの手を握り締めたり、彼女を移動用のリムジンに連れ込んでキスをしたり、自分のアパートメントやギリシアの島へと連れて行き――。
【おすすめポインツ】
貧乏でも健気に暮らしている可愛いヒロインは、ヒーローとの社会的格差に怯み、自分のようなブスい地味子に興味を持つなんて有り得ないといじけつつ、行きずりのセックスをしちゃうなんて、嘘よ夢よああん♡
一方のヒーローはお約束で、一目でヒロインを愛しちゃったくせに、マザコンらしく「ママンでさえひどい女だったんだから、こいつも僕を騙す詐欺師! 金をやるから二度と現れるな!!」なんて切り捨てる。自意識過剰と自己憐憫で、相手を疑う自傷行為をしてるのに、痛くて痛くてヒロインも同じように傷つける。
すみません、あらすじが書き難い作品だったので、苦手な部類かもです…。
ただ、漫画家さんのセリフのチョイスに非常に救われていて、一番下の【胸キュン最高点】で選んだ1つをとっても、噛めば噛むほど深い意味を持っています。
だって、「今度は君が折れる番だぞ」って、ヒーローは尊大すぎて1度も折れてるようには見えないわけですよ。謝っても借金肩代わりしても、俺様がしてやったんだから感謝しろよみたいな。でも、彼は自分的に、もうこの時点で折れまくってるんですよね。ヒロインに本気になっちゃったから♡
【もにょるポインツ】
再会したあとに盛り上がりが欲しかったし、ヒロインを追い詰める前に金と言葉だけじゃなく何かできるんじゃないかな。
この作品に限らず、会社や業界のトップに君臨してるヒーローが、女性を信じられずに人間扱いできない人種だという矛盾。現実にこんな差別男だったら、普通の管理職クラスでも社会奉仕や啓発教育コースに放り込まれますし、トップクラスなら会社経営などやっていけないレベルなんじゃないでしょうか。
【勝手に印象三昧】
ラブラブ度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
アレクシオがシドニーを最初から愛してるのは分かりやすいんです。でも、彼女のどこを好きになったのかよく分かりませんでした。今まで周囲にいないような貧乏娘だから物珍しいんじゃないか? と思えるくらい。
ドキドキ度 ★ ★ ☆ ☆ ☆
どうせ他の女性も同じように口説いてるんじゃなかろうか。言葉だけで説明されてもドキドキしないし。
ワクワク度 ★ ★ ★ ☆ ☆
どういう山場が来るのかと期待してたら、まさかアクセサリー1つで「金目当ての女」って責める心の狭い男だったとは。終いに出来ちゃった婚とかなんだかな。という逆向きの意外さ。
ウルウル度 ★ ☆ ☆ ☆ ☆
シドニーの健気さに★贈呈。
もしもの離婚率 → 60%